- 「派遣先上司のパワハラがひどくて、もう限界…」
- 「モラハラが精神的にキツく出社したくない」
- 「ことを荒立てるのがイヤだからセクハラ被害を誰にも言えない…」
派遣先企業でパワハラ・セクハラ・モラハラ被害を受けながら、誰にも言えず悩んでいる派遣社員も多いのではないでしょうか。
派遣先企業でパワハラ・セクハラ・モラハラの被害にあった場合は、被害の証拠を残した上で、派遣会社の苦情処理担当者に相談してください。
なぜなら、派遣元には派遣社員からの苦情に対して適切に対応し、派遣社員を派遣先企業から守る義務があるからです。
ただし、派遣元に相談しても必ずパワハラ・セクハラ・モラハラが解決するわけではありません。
解決しない場合は、以下の方法も選択できます。
- 公共機関や専門家に相談する
- 法的に訴える
- 派遣契約を解除する
当記事では、パワハラやセクハラ、モラハラ被害を受けた場合の対処方法とともに
- パワハラ・セクハラ・モラハラの違い
- アンケート調査による派遣社員のパワハラ・セクハラ・モラハラ被害の実態
- 派遣社員が利用できる制度
などもあわせて紹介しています。
この記事を読めば、派遣先企業でパワハラ・セクハラ・モラハラ被害にあった場合の対処方法や相談先がわかり、一人で悩む必要がなくなりますよ。
パワハラ・セクハラ・モラハラの違いを比較
パワハラ・セクハラ・モラハラの違いは以下のとおりです。
パワハラ | セクハラ | モラハラ | |
---|---|---|---|
特徴 | 身体的攻撃または精神的攻撃による嫌がらせ | 性的嫌がらせ | 精神的攻撃による嫌がらせ |
加害者 | 優越的な関係がある人物 | 優越的や地位は関係なし | 優越的や地位は関係なし |
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
パワハラとは地位や権力を利用した嫌がらせ
パワハラとは「パワーハラスメント」の略称で、職場内で地位のある人が、権力や立場を利用して嫌がらせやいじめなどで相手に苦痛を与える行為です。
厚生労働省では、「同じ職場では働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係に基づいて、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」と定義しています。
”優越的な関係”というと上司や先輩のみが対象と思われがちですが、職務上の地位のみで判断するわけではないのでこれを機会に覚えておきましょう。
2019年5月にはパワハラ防止を義務化する法律が成立し、大企業では2020年6月から、2022年4月には中小企業でも施行がなされます。
パワハラ6種類のパターン
パワハラには「6類型」と呼ばれる、6種類のパターンがあります。
- 身体的攻撃
- 精神的攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
それぞれの具体的な内容について紹介します。
1.身体的攻撃
身体的攻撃とは、以下のような直接的な暴力や傷害を指します。
具体的には以下の行為です。
- 殴る
- 蹴る
- 髪を引っ張る
- 物を投げつける
- 丸めたポスターで頭を叩く
2.精神的攻撃
精神的攻撃とは、相手の人間性を否定するような侮辱や暴言を指します。
具体的には以下のような行為です。
- 周囲に人がいるにも関わらず必要以上の叱責をする
- 長時間にわたり繰り返し執拗に叱る
- 命令に従わないとクビや雇い止めにすると脅迫する
3.人間関係からの切り離し
人間関係からの切り離しとは、社内の集団から仲間はずれにする行為全般を指します。
- 歓送迎会をはじめとした社内イベントに出席させない
- 一人だけ別室に席を移す
- 挨拶や連絡を無視する
4.過大な要求
過大な要求とは、業務可能な範囲を大幅に超える業務や、無謀なノルマを課す行為を指します。
- 不要な残業を課す
- 仕事のやり方がわからない新人に仕事を押し付ける
- 上司の自宅から会社までの送迎を強制する
5.過小な要求
過小な要求とは、適正に合った業務とはかけ離れた雑務を押し付ける行為を指します。
- 事務職に草むしりを命じる
- 業務とは関係のない雑用を押し付ける
- まったく仕事を与えない
6.個の侵害
個の侵害とは、業務に関係のないプライベートな話題を無理やり聞き出したり、口出ししたりする行為を指します。
- 交際相手について執拗に聞く
- 配偶者の悪口を言う
- 休日の予定を執拗に聞き出す
パワハラの加害者は男性とは限らない
「パワハラをする人」として、男性をイメージする人も多いと思います。
実際にはパワハラの加害者は男性が多い傾向にあるものの、女性によるパワハラもあります。
なぜなら、派遣先企業でパワハラを受けたことがある派遣社員59人にアンケート調査を行ったところ、59人中40人が男性、19人が女性からパワハラを受けたと回答しています。
中には男女両方からパワハラを受けた経験のある人もいました。
パワハラ加害者は派遣先企業の上司や正社員が多い
続けて、パワハラを受けたことがある59人にそれぞれにパワハラ加害者の役職についても聞いてみました。
パワハラ加害者の役職は多岐にわたりますが、派遣先の上司または正社員が多くなっています。
以下、アンケートの中で票数が多かった役職のベスト5をご紹介します。
派遣先でパワハラを受けたことがある派遣社員59人に聞いたパワハラをしてきた人の役職ベスト5
順位 | 役職 | 回答者 |
---|---|---|
1位 | 課長 | 9人 |
2位 | 正社員(一般社員) | 8人 |
3位 | 所長 | 5人 |
4位 | 主任 | 4人 |
マネージャー | 4人 | |
5位 | 社長 | 3人 |
係長 | 3人 |
上記より少数回答だった加害者の役職も、支店長や部長といった派遣先の上司にあたる人が多数でした。
中には派遣会社の営業担当者からパワハラを受けていると回答した人も一人いました。
派遣先だけでなく、派遣元のスタッフからパワハラを受ける可能性もあるということですね。
セクハラとは性的な嫌がらせ
セクハラとは「セクシャルハラスメント」の略で、一言で言うと「性的な嫌がらせ」です。
男女雇用機会均等法では、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇、降格、減給などの不利益を受けることや、性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること」と定義されています。
セクハラ2種類のパターン
厚生労働省は、セクハラを2種類のパターンに分けています。
- 対価型セクハラ
- 環境型セクハラ
パターンごとに詳しい事例をご紹介します。
1.対価型セクハラ
対価型セクハラとは、職務上の地位を利用して性的な関係を強要し、拒否した人に対して減給や降格などの不利益を負わせる行為のことです。
例えば、以下の行為が対価型セクハラに該当します。
- 職場内での性的な発言に対して抗議した者を契約解除する
- 性的な関係の求めを拒否したものに対して、減給や降格をする
2.環境型セクハラ
環境型セクハラとは、性的な関係は要求しないものの、職場内での性的な言動により働く人たちを不快にさせ、職場の環境を損なう行為のことです。
例えば、以下の行為によって相手方が苦痛に思い就業意欲が低下した場合には、環境型セクハラに該当します。
- 性的な冗談やからかい
- 恋愛経験を執拗に尋ねる
- 業務に必要のない身体接触
セクハラの加害者は男性が圧倒的多数だけど女性もいる
派遣先でセクハラを受けたことがある派遣社員23人を対象にアンケート調査を行いました。
アンケート結果を見ると、セクハラ加害者は23人中20人と圧倒的に男性が多い一方で、女性によるセクハラ行為もあることがわかりました。
異性からだけでなく、「同性からセクハラを受けた」という意見もありました。
セクハラ加害者の役職は上司や派遣先の一般社員が多い
続けて、セクハラを受けた23人に対して、加害者の役職についてもお聞きしました。
その結果、セクハラ加害者の役職は上司や派遣先の一般社員が多数となっています。
派遣先でセクハラを受けたことがある派遣社員23人に聞いたセクハラをしてきた人の役職ベスト3
順位 | 役職 | 回答者 |
---|---|---|
1位 | 一般社員 | 4人 |
部長 | 4人 | |
2位 | 課長 | 3人 |
3位 | 係長 | 2人 |
回答者が一人だった役職は以下のとおりです。
- 社長
- 取締役
- 工場長
- 編集長
- チームリーダーなど
モラハラとは一般的には、モラル(倫理や道徳・社会常識)に反した嫌がらせ行為
モラハラについては、前述したパワハラやセクハラのような定義は設けられていませんが、一般的には、モラル(倫理や道徳・社会常識)に反した嫌がらせ行為のことを指します。
モラルハラスメントの略で、積極的な悪意はなく、教育や指導と思い込んで行われているケースもあります。
モラハラは周囲も受けた本人も気づきにくい
モラハラは周囲に気づかれにくく、受けた本人も大したことはないと考えて見過ごされる傾向があります。
モラハラの事例として、以下の行為が挙げられます。
- 暴言や侮辱、陰口などの精神的攻撃
- 無視や飲み会に誘わないなどの仲間はずれ
- 誹謗中傷、噂を広める
- プライベートに干渉
- 雑用の押し付けや仕事の妨害など
また、パワハラやセクハラとモラハラが重なり合うケースもあります。
モラハラの加害者は男女比2:1で性別による差は小さい
派遣先でモラハラを受けたことがある派遣社員にアンケート調査を行いました。
結果として、モラハラの加害者は男女比2:1と、性別による差は小さいことがわかりました。
モラハラの加害者15人のうち「男性10人」「女性5人」というアンケート結果でした。
モラハラ加害者の役職は派遣先の上司や一般社員
派遣先でモラハラを受けたことがある派遣社員14人にアンケート調査を行いました。
結論から言うと、パートからモラハラを受けた一人を除いては、すべて派遣先の上司や一般社員からモラハラを受けている結果となりました。
派遣先でモラハラを受けたことがある派遣社員14人に聞いたモラハラをしてきた人の役職
役職 | 回答者 |
---|---|
社長 | 2人 |
課長 | 2人 |
主任 | 2人 |
一般社員 | 2人 |
店長 | 2人 |
パート | 1人 |
係長 | 1人 |
部長 | 1人 |
直属の上司 | 1人 |
今回のアンケートによると、モラハラ加害者は上司や正社員が圧倒的に多かったのですが、以下の立場の人からモラハラを受けることもあります。
- 同僚
- 部下
- 派遣
- アルバイト
- パートなど
モラハラはパワハラやセクハラと混同されやすい
モラハラは認知度が低いことや定義が定まっていないことから、パワハラやセクハラと混同されるケースが多々あります。
モラハラ被害の具体的な内容をアンケートしたところ、パワハラやセクハラと思しき内容の回答もありました。具体的には以下のとおりです。
- 権力があることを盾にして、勤務先上司が責任転嫁をしてきた(パワハラ)
- 「だから女は~」などの男尊女卑発言をされた(セクハラ)
- 彼氏がいるのかしつこく聞いてきたので適当にあしらっていると、ミスをした時に私だけ怒鳴られた(セクハラ、相手が自分より優位な場合にはパワハラにもなる)
パワハラ・セクハラ・モラハラ対応には証拠集めが必要
パワハラ・モラハラ・セクハラを受けている場合、証拠集めが重要になってきます。
なぜなら、第三者へ相談する際、あなたの言い分だけでは話を信じてもらえない可能性があるためです。
客観的な証拠があることで、第三者にも説明がしやすくなるのも大事なポイントですね。
証拠集めの方法
パワハラ・セクハラ・モラハラの証拠となるものを示します。
- ボイスレコーダーによる録音
- メールやSNSの記録
- 業務に関する指示書(メモや業務命令書など)
- 医師の診断書
- 日記や業務日報
ボイスレコーダーは職場に持ち込むことが難しい可能性もありますが、メールやSNSの保存、日記や業務日報などによる証拠集めは簡単にできます。
次に具体的な証拠集めの方法を紹介します。
ボイスレコーダーによる録音は日時や状況も一緒に記録
言葉によるパワハラ・セクハラ・モラハラ行為がある場合、ボイスレコーダーで録音しましょう。
ボイスレコーダーがない場合、スマートフォンのICレコーダー機能を利用するといいでしょう。
ポイントは、ただ録音するだけでなく、日時や状況なども一緒に記録しておくことです。
ハラスメント被害を録音する時に、日時や状況なども一緒に記録しておく理由は以下のとおりです。
- 後から証拠を整理する時にわかりやすい
- 相談で証拠が必要な時に説明しやすい
- ハラスメント被害にあった日時が特定できる
- ハラスメント被害の期間がわかる
メールやSNSへの書き込みは即保存
ハラスメント内容のメールが送られてきた場合は、削除をせずに保存しましょう。
SNS上で嫌がらせ行為が行われている場合は、SNSの画面を撮影するかスクリーンショットを保存してください。
SNSの場合、相手が書き込みを削除すると証拠を残せないため、「見つけたらすぐ」保存することが重要です。
ハラスメントなメールやSNSの内容は、プリントアウトして紙の形で残しておいても良いですし、データと紙の両方で保存しておくとさらに安心です。
体調を崩した場合は医師に診断書を書いてもらう
パワハラ・モラハラ・セクハラで体調を崩して病院に行き治療した場合には、医師に診断書を書いてもらってください。
暴力を振るわれてけがをした場合、うつ病になった場合などです。
診断書を書いてもらうことは、自身にとってどれ程影響が大きい行為だったかを証明する一つの手段となります。
日記や業務日報で日付と具体的内容を記録
日記や業務日報も証拠になります。
日付と合わせて「何をされたのか」「何を言われたのか」が具体的にわかる内容を記録することが重要です。
なぜなら、記憶に頼ると細かい部分まで覚えているのは難しく、証言も曖昧になってしまいます。また「言っているだけ」と思われて証拠にならない可能性もあります。
「被害に遭ったとのときの新鮮な記憶」でしっかり日記や日報などの記録に残しておくと、証拠価値が高くなります。
セクハラやパワハラ被害にあった直後、内容を忘れないうちにメモに書き残しておきましょう。
まずは派遣会社の苦情処理担当者へ相談しよう
パワハラ・セクハラ・モラハラ被害にあっている場合、一人で悩まずに、まずは派遣会社の苦情処理担当者に相談しましょう。
なぜなら、派遣元には派遣社員を派遣先企業から守り、派遣先企業に対してパワハラ・セクハラ・モラハラ被害の対応を行う義務があるからです。
加害者や派遣先企業に直接掛け合うと被害が余計にひどくなったり、対立したりするリスクがあるのでおすすめできません。
苦情処理担当者に相談する時は、証拠を準備して相談するようにしてくださいね。
ただし、派遣先企業に強く言えない派遣会社や苦情処理担当者も残念ながら存在します。
派遣会社に相談しても改善しない場合は、公的機関や専門家に相談しましょう。
具体的な相談先は以下のとおりです。
セクハラの相談には、以下の専門窓口もあります。
軽度のセクハラは相手に伝えて抑止できることも
セクハラは、以下の2点を相手に伝えると抑止できる可能性があります。
- セクハラをやめて欲しいこと
- セクハラをやめなかったら別の手段に訴えるつもりであること
特に相手がセクハラと認識せずに行っている場合に有効です。
「不快だ」と伝えると、相手は「自分がしていることはセクハラなんだ」と自覚して、やめる可能性があります。
ただし、「交際をしつこくせまる」「人がいないところで身体を触ってくる」といった程度の酷いセクハラや故意の場合、直接訴えるとかえって報復されたり事態が悪化したりする恐れもあります。
判断は難しいところですが、相手に伝えるのは比較的軽めのセクハラに限定した方が良いでしょう。
改善されない場合は法的に訴えることもできる
派遣元や公的機関などに相談しても改善されない場合、法的に訴えることも可能です。
加害者だけでなく、対応を怠った派遣元や派遣先を訴えることもできます。
ただし、裁判所における手続き(労働審判や訴訟)には手間も費用もかかり負担が大きいです。
法的対応を検討しているなら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
パワハラ・セクハラ・モラハラを理由に派遣契約を解除できる
派遣契約期間中であっても、パワハラ・セクハラ・モラハラ被害を受けたら、派遣契約を解除できます。
被害の相談をしたにも関わらず、職場環境の改善が行われないのは契約違反に該当するからですね。
またハラスメント被害によって契約解除を余儀なくされた場合、自己都合退職ではなく会社都合退職の扱いになります。
会社都合退職になった場合、3ヶ月の給付制限期間を待たずに、雇用保険の失業給付を受給できますね。
ただし雇用保険の失業給付には、「雇用保険の被保険者期間が退職日以前の1年間に通算で6ヶ月以上あること」という受給条件があるので注意してください。
もちろん、失業給付を受けずに、契約解除後に新たな派遣先を紹介してもらうこともできます。
ハラスメントによる心身の不調は労働災害扱いにできる可能性あり
労災保険とは、仕事中や通勤途中にケガを負ったり仕事が原因で病気になったりした場合に、労働災害と認められ、国から保障を受けられる制度のことです。
パワハラ・セクハラ・モラハラによって心身の不調をきたした場合でも、診断書があれば労災扱いになる可能性があります。
最近では以前と比べて、ハラスメントによる労災が認められやすくなってきています。
労災保険の受給には本人による申請が必要です(死亡した場合には家族が申請します)。
労災保険の申請方法については、厚生労働省のホームページにある労災保険の申請方法を参考にしてください。
実際に派遣社員へのセクハラやパワハラはあるのか?現役社員に聞いてみた
「派遣社員に対してセクハラやパワハラは本当にあるのだろうか?」と気になっている方も多いと思います。
派遣会社の担当者を15年以上続けていて、当サイトの監修者でもある「としぞうさん」にズバリ聞いてみました。
(※補足:モラハラに関してはパワハラやセクハラと被る部分が多いため省かせていただきました)
■としぞう氏のプロフィール
2005年に運営開始した人材派遣ブログ「実録!負け組人生!?派遣会社の裏の裏!」の運営者。
派遣会社の現場で日々起こるトラブルの数々をユーモアあふれる語り口調で書いたことで、ブログは書籍化、漫画化もされるほどの人気となる。
問題に挙がったことはあるのですが、「本当にセクハラがあったかどうか?」わからないからです。
なぜなら、現場を見ている人がいなければ、「実際にセクハラがあったのか?」は、当事者にしかわからないからですね。
例えば、「派遣の担当者から急に抱きつかれた」と、クレーム来たことがあります。
事実なら当然セクハラとなりますが、担当者は「そんなことするわけがない!」と猛反論です。
「本当はセクハラしたんじゃないの?」と疑う人もいると思いますが、このケースでクレームを言ってきたのは、セクハラを受けたと主張する女性本人ではなく彼氏でした。
「オレの女が抱きつかれたから5万円払え!」というわけです。
営業担当者が「では、警察を呼んできちんと話し合いましょう」と言うと、その後は音信不通になりました。
本当はあったのかもしれないし、現在でもわからないままですね。
ただ、パワハラに関しては「どっちもどっち」というケースが多く、判断が難しいです。
例えば、飲食店に派遣された外国人の方が、勤務中にお店のカウンター内で持参したお菓子を食べはじめたことがあります。
日本人の上司からすれば非常識でありえないことなので、「何食べてんだ!食べるのをやめろ!」と指導しますよね。
しかし、外国人の住んでいた国ではみんなが当たり前にやっていたことなので、なぜ怒られるのか理解できなかったんです。
悪いと思っていないため、「上司からパワハラを受けた」とクレームがきました。
他にも、鉄拳制裁を受けた派遣社員から「パワハラだ!」と言われたことあります。
しかし、その一部始終を見ていた人たちに聞いた結果、鉄拳制裁されてもおかしくないぐらい職場に迷惑かけることをしていたとわかりました。
ただ、セクハラやパワハラといった言葉が一般的になったことから、言葉自体は頻繁に使われています。
増えた例としては、
「目つきがいやらしい!あの人セクハラです!」
「言葉がキツイ!パワハラだ!」
などが挙げられます。
もし、担当者からセクハラやパワハラを受けているのであれは、派遣会社に相談しましょう。
まとめ
派遣先企業で派遣社員が、パワハラ・セクハラ・モラハラ被害にあった場合、以下のように対処しましょう。
- まずは派遣会社の苦情処理担当者へ相談する
- 派遣元や苦情処理担当者に相談しても解決しない場合は公的に機関に相談する
- 最終的には法的手段をとることも可能
- 軽度のセクハラは相手に直接伝える
- 派遣契約を解除する
- 労災や健康保険の傷病手当金制度を利用する
派遣先企業でパワハラ・セクハラ・モラハラ被害にあった場合は一人で悩まず、まずは派遣会社の苦情処理担当者に相談しましょう。
ガマンする必要はありません。
精神的に病んだり体調を崩したりする前に、早めに第三者に相談してくださいね。
最後に当記事の監修者、社労士事務所「志」代表の村井志穂氏からアドバイスいただいたのでご紹介します。
どのハラスメントも行った本人にはハラスメントの意識がないことが多いのではないでしょうか。
特にパワハラについては、”自分が若いころはこんなこと当たり前だった”という考えもあるでしょう。しかし、ハラスメントに対する社会の意識は年々高まり、会社に対する防止措置を求める法整備も進んできています。
また、ハラスメントは自分に悪気がなくとも相手方がどのように感じるかで判断されます。関係性がよければ相手方がハラスメントと受け取らないこともあるでしょう。
日頃から適度なコミュニケーションをとることが大切なのかもしれませんね。
社労士事務所志 代表
村井志穂(むらいしほ)氏
【社会保険労務士会登録番号】第23210035号
【愛知県社労士会登録番号】第2313540号
椙山女学園高等学校 椙山女学園大学卒業
人事労務関連のソフト会社に入社後、カスタマーサポート・マーケティング・システム開発に携わる。
社会保険労務士資格取得後は、システムエンジニアとして勤めつつ、自身の事務所を開業。システム開発の経験を活かした、Office製品を利用した業務効率化ツールの提供も行っている。
当記事が法的に問題ないかの視点から、リーガルチェックしていただいた監修者おふたりをご紹介します。
元弁護士ライター 福谷陽子氏
弁護士時代には一般民事や企業法務など幅広く対応していた。未払い給料や解雇問題などの労働トラブルにも高い関心を持っている。今は弁護士としての実務経験を活かし、さまざまな法律メディアにて専業で執筆活動を行っている。
澁谷・坂東法律事務所
坂東大士(ばんどう ひろし)氏
(大阪弁護士会 登録番号 47642)
経歴
2009年 関西大学法科大学院 卒業
2011年 司法試験 合格
2013年 大阪弁護士会登録
2019年 澁谷・坂東法律事務所開設
所属団体
大阪弁護士会労働問題特別委員会
租税訴訟学会
関西圏国家戦略特区雇用労働相談センター雇用労働相談員(2015年度)
東大阪商工会議所会員
弁護士の視点から当記事が法的に問題ないかをチェックしていただいております。
本記事で利用したアンケート調査
- 調査対象:パワハラを受けたことがある派遣社員
- 調査期間:2019年8月7日~9日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:59人
- 調査対象:セクハラを受けたことがある派遣社員
- 調査期間:2019年8月7日~9日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:23人
- 調査対象:モラハラを受けたことがある派遣社員
- 調査期間:2019年8月7日~9日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:15人